花と邂逅

小・中学校を不登校と保健室登校で過ごした自分を振り返ってみます。

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

 

 

こんにちは、今回はいきなりの本紹介という名の備忘録。ひたすら好きな小説やマンガについて書いていこうかとも思っていたんですが(これでも一応)不登校ブログなので、どうせなら大小はあれど私の不登校生活に影響を与えたものにしようという考えに至りまして。

 

不登校中に良くも悪くも影響を受けたもの」を、とりあえず覚えている限りでまとめていきます。今回は小説。嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

 

 

 

 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん / 入間人間

 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫)
 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん、通称みーまー。全10巻(外伝1巻)。

かわいい女の子の絵の表紙に対し、内容は残虐やらラブコメやらパロディーやらなかなかカオスな作品。

 

表紙詐欺でもある作品ですが、タイトルでんん?って思う方もいるんじゃないでしょうか。、、いるよね?私がそうでした。こういう類の耐性がない者にはもうすでに危ないタイトル。純真無垢だった私が、これは新しい扉を開けることになるぞ、と緊急センサーがはたらかせたくらい。でも実際、これを読み終わった後には少なからず価値観も変わったし、世界も広がった。表ではなく裏の方にだけど。

そんなライトノベルとはまったくの無縁だった当時の私がみーまーを知ったきっかけは、2011年に公開された実写映画です。まーちゃん役の大政絢ちゃんがすごく好きでして、映画のCMを見たときに興味を持ったのが始まりです。でも、まだ11歳の自分は「これあかんやつ」って原作の本を手に取ることはありませんでした。結局気にはなりつつも、実際に読み始めたのは2年後の中学2年生。夏休みに暇を持て余した私が図書館でふらっと手に取ったのがこの1巻でした。読み始めたときの心情を一言で表すならば、衝撃。前に読まなくてよかったって心底思いました。それは11歳の自分には到底処理しきれない話で、たぶん最後まで読むことはなかったでしょうから。といいつつも、初めて読んだ13.4歳頃でも深く理解することはなかったのですが。そんなこんなで16歳の今年、2度目の読み返しでやっとこさ共感みたいな同情みたいな感情が湧いてきたので、不登校児目線からみた感想みたいなものを。

 

 

 

まーちゃん、世界で一番キミを××してる……。嘘だけど。

御園マユ。僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった誘拐事件の概要が流れていた。誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。ズレた人生を、続けなければいけない。修正不可能なのに。理解出来なくなった、人の普通ってやつに隷属しながら。

―あ、そういえば。今度時間があれば、質問してみよう。まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。

第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作登場。

 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん|入間人間公式サイト

 

1巻のあらすじはこんな感じ。タイトルで大体把握できると思うんですが、嘘つきなみーくんと壊れたまーちゃんの話ですね。うん、そのまんま。

この文面で見るとまーちゃんが危ない感じになってるんですが、みーくんも相当なものを背負ってます。このみーくん、初めて読んだときには掴みどころがなくて感情移入以前の問題でした。まず一番信じていいか分からない人が主人公とか。

あと、みーくんは精神が崩壊しているということで、みーまーでは度々みーくん(稀にまーちゃん)が精神科(心療内科)に通う描写や精神科医の恋日先生と会話をする場面が出てきます。みーくんは文末に多用される「嘘だけど」という言葉の通り虚言癖があり、言動もかなり理解しがたいことが多いです。

 

そんな彼ですが、第1回読後の印象は”危ない人、結局善人か悪人かがわからない”という疑いの気持ちが強いものでした。不信感だらけ。

ですが第2回目読後では、あれ?みーくん思ったより”普通の人”じゃん、という1回目とはかけ離れたものに。

 

Q. この違いは何でしょう。

 

中学2年の自分と、高校2年の自分。 

 

A. 経緯は違えど、みーくんと同じ立場になったから。

 

正解は、自分がカウンセリングを始め心療内科に通うようになったからです。そうすると、恋日との何気ない意味のなさそうな会話でもみーくんにとってはカウンセリングになってるのかな、と改める部分がかなり見えてきました。自分が病院に行く前は、精神科に通ってる=危ない人というイメージが自分の中ではあって、みーくんに共感することもなかったわけですが。自分がいざ通うようになると、すっごい分かる。

普通に悩みながら生きている人に見えてきますし、謎に親近感も湧いてきます。同学年になったということもたぶん影響しているとは思うんですが。そうすると、最初はただ喚いて狂っているだけだと思っていたまーちゃんも、そりゃこんなにもなるよなあ、ってただの被害者に見えて納得。

 

 

 

 

というわけで、このみーまーが私の不登校生活に影響を与えたのは主に”精神的支柱部分”。世の中にはいろんな人がいて変な人もいて。みーくんとまーちゃんの生活を見てたら、自分なんか大したことないよなあって気になってきます。人の不幸は蜜の味という言葉がありますが、もしかしたらそれに類似しているのかもしれないししていないのかもしれない。よくわからない。

 

あと意外と非日常感が強かった。みーくんまーちゃんの生活記録みたいな話なので高校生のリアリティに溢れているのかなと思ってたけど違った。まあこの内容で日常っていうのもおかしな話だけど。

舞台は現代の街(町?)ですが、なんか閉鎖的というか神隠し的な怖さはあります。全然ホラーとかじゃないけど。キャラの濃いぶっとんだ人たちが多いので、今の自分もそんなに気にすることじゃないのかなって思えてきます。他人を比較対象にするのはよくないですが自分がマシだなって思うことはまあ幾らか。

 

ただ、普通におもしろい小説です。普通におもしろいって今まで褒め言葉だと思えなかったんですが、そうとしか言いようがない。心療内科に通っているからおもしろいという訳でなく、誰でも読めるし理解もできる。世界観とか、文章のふざけ具合とか唯一無二ですごく好きな作品。

たぶん、これからの人生で何度も読み返すんだろうなと思います。

 

 

 

 みーくんは苦労人だと思う。